仕事の成功を「ラダー」や「レース」に求めて、ひたすら他者と競争して勝ち抜く事、他者よりも秀でて社会的地位やステータスを上げることのみに目を向けていると、仕事で「成功した」と思う、あるいは思い続けることが難しくなります。ライバルは常に現れるし、あなたよりももっと優秀な人はいつでもどこにでもいます。そして競争は永遠に終わるということはありません。
「ラダー」や「レース」型の成功ではなく、「リング」形式で、自分が仕事をすることで周りに影響を与えていくことを仕事の「成功」と定義すれば、他者との勝ち負けの問題ではなくなります。
どのように仕事を通じて周りに影響を与えていくかを考えてみる時に「PERFECT」を参考にしてみましょう。
ここで「周り」というのは、他者だけでなく、自分自身も含めます。自分が受けた影響が、周りにも影響していくからです。
「PERFECT」とは仕事を自分にとって意味があるものにするための7つの視点です。
- Personal learning & development
- Entrepreneurial control & autonomy
- Religious /Philosophical values
- Family fulfillment/Thriving
- Expressiveness
- Community
- Talents
の頭文字をとって「PERFECT」と呼びます。
一つずつ説明していきましょう。
- Personal learning & development:自分の学習や成長。仕事により新しい知識やスキルを学習できて、自分の成長が感じられる。
- Entrepreneurial control & autonomy:自分で動いてコントロールする力。自発的に動く態度。仕事を言われたことをそのままやるだけではなく、自分で考えて自分から動いていくことができる部分があると感じられる。
- Religious /Philosophical values:宗教感や自分の価値観。仕事が自分の信仰に合致している、あるいは価値観に合致していると感じられる。
- Family fulfillment/Thriving:家族を養う、家族のニーズを満たす。仕事により自分の家族を経済的に支えることができる、家族の繁栄のために貢献できると感じられる。
- Expressiveness:自己表現。仕事を通じて自分の意見や考えを表現できる。創造性を発揮できる。
- Community:コミュニティ。仕事を通じて他者や社会に貢献できると感じられる。
- Talents:才能。自分の才能や能力を活用できる。自分の才能や能力を更に伸ばせると感じられる。
この7つの視点で、今の仕事を見直してみましょう。銀行に勤めている、メーカーに勤めている、学校に勤めている、あるいは営業職である、事務職であるなど、業種や職種は関係ありません。
自分の今の仕事が「PERFECT」のどれか一つの視点を満たしているのならば、その視点により今の仕事が自分にとって意義があるものになるのです。
- 今の仕事は営業事務職であまりやりたいと思っていた仕事ではない。でも、自分の裁量で勤務時間はコントロールできる(A)。それに子供達の教育費用にお給料を使える(F)。
- 今の仕事は経理で面白いとは思わないけれど、エクセルが得意になって色々と使いこなせるようになった(P)。後輩に教えて頼りにされるようになった(C)。町内会でも会費の管理をエクセルで行うことを提案して町内会メンバーに感謝された(C)。
上記の例のように、たとえ今の仕事がそれほど好きではない、あるいは自分のやりたい仕事ではないと思っていたとしても、自分にとっての意義は見つけ出せることが多いのです。「PERFECT」の7つの視点から今の仕事を見直してみて、合致する視点があれば、そこをもっと伸ばす、あるいは深めるようにしてみましょう。
※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。