仕事をしていると、試練や問題に直面したり、失敗したり、人間関係に悩んだり、業績が伸びなくて試行錯誤したり、様々な状況を乗り越えなくてはいけません。
また、大学を卒業しただけで仕事が完璧にこなせるという仕事はほとんどないので、資格の勉強をしたり研修を受けたり、職場で先輩に仕事の方法を教わったり、自分で本を読んだりしてスキルを身に付けていく必要があります。
その仕事が好きであれ、嫌いであれ、私達は仕事を通じて実は様々なサバイバル・スキルを習得しています。それらのサバイバル・スキルは、仕事以外の人生でも大いに役立ちます。
人生を生き抜いていくための知恵や方法を、仕事を通じて吸収できることが多いのです。
サバイバル・スキルは「メタスキル」とも言い換えられます。仕事だけでなく、私達の人生全般に役に立つ応用スキルです。
「メタスキル」を例を挙げて説明しましょう。
- 英語を勉強して話せるようになった。これは一つのスキルです。外国語を勉強して話せるようになる方法を身に付けた。これが「メタスキル」です。どのように勉強すれば外国語を話せるようになるかの方法を身に付けることで、英語以外の外国語の勉強に応用できます。
- パワーポイントで資料を作成できるようになった。これは一つのスキルです。新しいソフトウェアをマニュアル本を読んで理解し、使いこなせるようになる。これが「メタスキル」です。パワーポイント以外のソフトウェアでも、マニュアル本さえ読めば、使いこなせるようになる応用スキルです。
- 顧客からのクレームの電話を受けて、状況を説明して納得してもらうよう努力している。これは一つのスキルです。相手からのクレームをきちんと聞いて、応対することができる。これは「メタスキル」です。
職場にはこのようなメタスキルの習得の機会がたくさんあります。
一つのスキルを身に付けるだけでなく、その身に付け方を習得して、他のスキル習得に応用できるようにする。「メタスキル」を身に付けることで、仕事でも、仕事以外でも、自分の能力を開発できます。
例えば上に挙げた3つのメタスキルの例でいえば・・・
- 外国語の勉強方法を身に付けたメタスキル→海外に旅行に行く時に、その国の言葉を勉強して現地の人とコミュニケーションできる。子供達に外国語の勉強方法を指導できる。
- マニュアル本を読むことでソフトウェアを使いこなせるメタスキル→新しいデジタル機器を使いこなせるようになり、家庭のIT化を進めることができる。家族でデジタル機器やパソコン使用で困っていることがあれば、手助けすることができる。
- 相手からのクレームをきちんと聞いて対応できるメタスキル→夫婦間、親子間で口論になったり衝突があった時に、冷静に相手の話を聞いて、状況改善のための話し合いをすることができる。
仕事で身に付けた「メタスキル」は職場だけではなく、仕事以外の人生全般に使うことができるスキルです。仕事を通じて、自分や家族の人生をスムーズにするための「メタスキル」を身に付けている。そう今の仕事を再定義してみましょう。
今の仕事で身に付けられる「メタスキル」がないか、探してみましょう。
また、こういう「メタスキル」を身につけたいという希望があれば、職場で身に付けるチャンスがないか、探してみましょう。
自分の人生のために、自分に役立つ「メタスキル」を習得するために、仕事を利用するのです。
※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。