前回「年末スペシャルプログラム2023 今の仕事を自分の糧にするワーク④ 仕事を通じて自己効力感を高める」で、職場で自己効力感を高める方法の一つとして「自分をけなす人から離れる」ことを推奨しました。
感情的に、あるいは根拠がないままであなたを批判したり悪口を言う人からは物理的にも時間的にも距離を取ることをお勧めしますが、あなたに否定的な事を言う人がすべて「あなたをけなす人」ではありません。中には、根拠のある批判を述べる人、仕事をレベルアップさせるためにあなたに反論する人もいると思います。あるいは助言や励ましのつもりで、あなたを叱ったり、反対の意見を示してくる人もいます。
そのような人からは離れる必要はないのですが、あなたやあなたの発言に対して否定的なことを言ってくる人に対し、苦手だと思う感情は生まれるでしょう。あるいはあなたの意見を否定されて、嫌な気分になったり、怒りを感じたりするでしょう。
その時に「嫌な人」「この人苦手」と思うだけで終わらずに、「Tell me more」(もっと教えて)で反応しましょう。
- 「あなたの見積もりは雑だ」→「もっと詳しくどう雑か教えて下さい」
- 「あなたの資料は説得力がない」→「もっと詳しくどう説得力がないか教えて下さい」
- 「あなたの職場での態度が悪い」→「どう悪いのかもっと詳しく教えて下さい」
- 「あなたには後輩はついてこない」→「どうしてそう思うのかもっと詳しく教えて下さい」
このように批判や否定には「Tell me more:もっと詳しく教えて下さい」で返しましょう。
教えてくれと言われて嫌な気持ちになる人はまずいません。抽象的な批判から、具体的な理由や根拠を示して批判を展開してくれるでしょう。そこからあなたは改善ポイントを学べばいいのです。
もし教えてくれと言われて「そんなこと自分で考えろ」とか「図々しい」と返してくる人がいれば、その人はあなたを批判する具体的な根拠を持っていないか、非論理的で感情的な批判をあなたにぶつけているだけの場合が多いのです。そういう人こそ「距離をおくべき人」です。
「批判の根拠をもっと詳しく教えてほしい」と頼んで答えてくれる人は、あなたの敵ではありません。むしろあなたの弱点や改善すべき点を教えてくれる師匠ともいえます。
職場で批判されたり、あなたの意見を否定されてもよいのです。「もっと詳しく教えて下さい」で答えを返してくれる人達は、あなたを磨いてくれる師匠集団と思って大切にしましょう。
この「Tell me more」作戦は、職場以外の環境(家庭や学校、地域社会など)でも有効です。ただ、批判や否定を受ける場は仕事を通じて多く遭遇すると思いますので、仕事を利用して自分の敵を師匠にする経験を積んでいきましょう。仕事以外の場でも大いに役立つスキルになると思います。
※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。