「年末スペシャルプログラム2023 今の仕事を自分の糧にするワーク④ 仕事を通じて自己効力感を高める」で自己効力感を高める方法の一つが「自分がコントロールできる事に集中する」があります。
自分がコントロールできる事と、コントロールできない事を見極めるようにすることは一つのスキルです。「年末スペシャルプログラム2023 今の仕事を自分の糧にするワーク➂ 仕事を通じてメタスキルを習得する」で紹介したような生涯を通じてあなたの役に立つメタスキルの一つでもあります。
私達は意外と自分がコントロールできない事をあれこれ悩んだり、苦しみを感じたりします。
- 出張なのに猛暑で気が滅入る。出かけたくないなあ。
- オフィスが移転することになり通勤距離が遠くなる。早起きしないといけない。嫌だなあ。
- 新しい上司は若くして出世したキャリア志向の人らしい。仕事が厳しくなりそうで憂鬱。
- 先週プレゼンで失敗してしまった。チームメンバーは私に失望しているだろう。あんな失敗をしてしまって恥ずかしい。
このような「天候」「オフィスの移転」「新しい上司の就任」「過去の失敗」などは、あなたにはコントロールできない事です。何らかの感情を感じることは止めようがないかもしれませんが、コントロールできないと分かっている事をくよくよ悩んでも、あなたの時間とエネルギーの無駄です。
PositvePsychology.comというポジティブ心理学の団体では、自分がコントロールできる事とできない事を分けるCircle of Controlの図を紹介しています。
Full control：自分でコントロールできる事
自分の発言、行動、マインドセット（心持ちや考え方）
Some control：自分である程度コントロールできる事
自分のキャリア、勉強、学習。自分についての他人の意見。自分の評判。自分の時間の過ごし方。自分が誰を支持するか。自分に近い人の態度や行動。
No control：自分がコントロールできない事。
他人の行動や態度。環境。メディア。ニュース。セレブな人々。天候。ソーシャルメディアのフォロワー。天災。死。自分の過去。政治。他人の過ち。
自分がフルにコントロールできる事は自分に関わることだけです。自分がどう考えて、どう発言し、どう行動するか。それだけしかコントロールできないのです。
よく「過去と他人は変えられない」と言いますが、まさに真理です。天候や自然災害、職場で誰が上司になるか、過去の失敗は、自分にはどうしようもない事です。そこはすっぱりと「No control」の分野であると認識しましょう。
一方、「Some control」の分野があります。自分である程度コントロールできる分野です。自分の能力やスキルを高めていく事は、全部とは言いませんが自分の努力次第である程度可能です。職場の上司からの自分の評価も、上司の考え方をコントロールはできませんが、自分の努力次第で影響をある程度及ぼせます。自分と一緒に働いているチームメンバーの考え方はコントロールできませんが、同じ目標のために共有の考え方を持つことは可能です。
上記の例で考えてみましょう。
- 出張なのに猛暑で気が滅入る。出かけたくないなあ。→猛暑という天候は自分ではコントロールできない事。しかし出張中暑さ負けしないよう、携帯扇風機を持ち歩く、クールビズで行く、扇子を持ち歩くなど自分で工夫できる事を実行することは可能。
- オフィスが移転することになり通勤距離が遠くなる。早起きしないといけない。嫌だなあ。→オフィスの移転は自分にはコントロールできない事。しかし長くなった通勤距離を利用して通勤時間にずっと先延ばしにしていた英語の勉強をする事は可能。
- 新しい上司は若くして出世したキャリア志向の人らしい。仕事が厳しくなりそうで憂鬱。→上司は自分では決められない。仕事が厳しくなるかもしれないけれど、有能な人だから仕事のやり方を学んで自分の能力アップに役立てる事は可能。
- 先週プレゼンで失敗してしまった。チームメンバーは私に失望しているだろう。あんな失敗をしてしまって恥ずかしい。→過去の失敗をなくす事はできない。チームメンバーは失望しているかもしれない。でも、チームメンバーに失敗を謝罪し、失敗を防ぐ方策についてアドバイスをもらう事は可能。
このように、自分でフルにコントロールできない事であっても、Some controlを持ち込む事は可能です。
仕事で経験する様々な事象を、自分がコントロールできる事か、それともコントロールできない事か見極めて、ある程度自分でコントロールできることがないか探してみましょう。
自分がコントロールできる事とできない事を見極める能力は、仕事を離れたプライベートでも重要です。家族間の問題、お金の問題、健康問題などに直面した時も、まずは自分がコントロールできる事か否かを見極め、ある程度自分がコントロールできる部分があるのかどうかを考えてみましょう。
※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。
