オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
年末年始スペシャルプログラム

年末スペシャルプログラム2023 今の仕事を自分の糧にするワーク⑪ 「善に基づく友人」と呼べる友情を築ける可能性が職場にはある

仕事を通じて知り合う人々。上司、先輩、同僚、後輩、お客様。あるいはライバル会社の競争相手。尊敬する業界のスター。仕事をしていると、いろいろな人達と知り合う機会があります。

単なる仕事の仲間だから、プライベートの友達にはなれない。仕事とプライベートの間には一線を引きたい。そういう考えもあるでしょう。

でも、せっかく仕事にたくさんの時間を費やしているならば、そこで知り合った人々の幾人かと友情と呼べる関係を築けると、仕事をする過程が楽しくなりますし、仕事を離れても交流できる関係を見つけられるかもしれません。
職場で、結婚相手や親友を見つける人も多いのです。あるいは「この人のようになりたい」という人生の指針になるような人と出会うこともあるのです。

ただ、仕事を通じて友人となった人達が、すべて自分の人生全体によい影響を与える友人とは限りません。

ギリシャの哲学者のアリストテレスは、友情を3種類に分類しています。

  1. Friends of pleasure:快楽に基づく友人。喜びや楽しみをシェアする友人関係。一緒にいると楽しい、楽だと思える友情。
  2. Friends of utility:実用に基づく友人。自分に何かメリットをもたらしてくれる友人関係。その友人が自分の役に立つと思う友情。その人よりもその人が自分に提供する利益を重視している。
  3. Friends of virtue:善に基づく友人。自分のためではなく、相手によいことをしてあげたいと思う友人関係。相手に感謝を感じる友情。

「快楽に基づく友人」は、たまたま同じサッカーチームのサポーターに出会った、同じ趣味の人と知り合ったということにより、職場でも作ることはできるかもしれません。

でも職場で得られる友情で、最も多いのが「実用に基づく友人」でしょう。〇〇を指導してくれる、〇〇を教えてくれる、〇〇をくれるなど、自分にとってのメリットを提供してくれる人に感じる感情を「友情」と認識するわけです。自分に昇進の機会を与えてくれる上司に感じる感情も、この「実用に基づく友人」です。
この友情は、相手が自分にメリットを提供してくれなくなったら消滅します。長続きすることはあまりありません。

アリストテレスは3種類の友人関係の中で、「善に基づく友人」を長続きして、相手のことを真に考え、切磋琢磨できる友情として推奨しています。

職場で自分の意見に反対したり、異なる意見を述べる同僚がいたとします。その反論が根拠もなく、感情的なものであれば、真剣に取り合う必要もないでしょうが、もしその同僚が、根拠を示し、内容を改善するために反論しているならば、その同僚は「善に基づく友人」の候補者です。
一方、修正した方がよい内容になると思っていても、波風立てたくないし、自分にとって何のメリットもないと思って黙って「うんうん、それでいいのではない?」と軽く受け流す同僚がいるとしたら、その人はたとえ親しくしているとしても「実用に基づく友人」です。

また、仕事で失敗した自分をただ責めるだけでなく、なぜ失敗したのかを一緒に追及して、もう一度トライするチャンスを与えてくれる先輩社員がいたら、その人は「善に基づく友人」の候補者です。
一方、仕事で失敗した自分をただお酒を飲ませて慰めて失敗は忘れればいいというだけの先輩社員ならば、その人は「快楽に基づく友人」です。

自分に心地いい事ばかりいう人が「善に基づく友人」とは限らないのです。時には自分を叱責し、批判してくれて、耳に痛い事を告げてくれる人こそ「善に基づく友人」であることが多いのです。

自分にとって「善に基づく友人」あるいはその候補となる人は誰か。そして、自分が相手にとって「善に基づく友人」になれているか。職場を通じて友人関係を築く時には、「快楽に基づく友人」や「実用に基づく友人」だけでなく、「善に基づく友人」を作れないか探してみましょう。

「善に基づく友人」と出合い、切磋琢磨し、自分も相手もスキルアップしていく関係を見つけるチャンスが職場にはあります。

※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA