私達の仕事の内容、方法、職種はどんどん変わっていきます。私達を取り巻く社会全体も変わっていきます。
変化を拒否して同じままでいるということは、仕事でもできませんが、人生全般においても無理です。必ず変化が訪れます。
しかし、人間は同じ状態を好む傾向にあり、変化に対して脅威を感じるよう脳の仕組みができています。原始の時代では変化は命の危険に直結したからです。
でも、現在では、変化を受け入れて自分も変化していかないと、仕事にも社会にも取り残されてしまいがちです。
ダーウィンの進化論のごとく、変化に対応して適合していく自分になりましょう。
仕事で変化が訪れた時、多くの場合、人はためらいや恐怖、困惑を感じます。(嫌いな上司が異動でいなくなるという変化は歓迎かもしれませんが)
しかし、変化は必ずしも悪いことではないのです。むしろ、あなたに新しいチャンスや新しい道を示すことになるかもしれないのです。事前に心配していたほどの厄介事はなかった・・・ということも多いのです。
変化が訪れたその時、その変化を恐れるのではなく、真正面から変化に向き合う自分に変わっていきましょう。
変化が訪れた時、その変化を自分がどのように感じているか、それはなぜか?をよく考えてみましょう。次の5つの質問を自分に投げてみましょう。
- わかっている変化は何か?事実と自分の想像とを区別する。
- その変化が自分にとってなぜ問題だと思うのか?
- 問題だと思っている事は事実なのか?
- 変化に対して他の考え方はできるか?
- 変化が自分にメリットをもたらす可能性はあるか?
例をあげて説明していきましょう。
Aさんが働く営業サポート課は、営業事務課と統合することになり、営業サポート事務課と名前が変わり、課長は営業事務課の課長が就任することになりました。今まで自分の上司だった営業サポート課の課長は違う部署に異動になりました。Aさんは今までの上司とはうまくやってきたと思いますが、新しい上司のことはよく知らないし、部下の指導に厳しいという噂を聞いています。Bさんは部が統合して、上司も変わることに不安を感じています。仕事の内容や方法が変わるのではないかと心配しています。
質問①:わかっている変化は何か?事実と自分の想像とを区別する。
Aさんにとっての変化は
- 自分の働いていた課が他の課と統合する。
- 上司が変わる。
の2つです。
「仕事の内容や方法が変わるかも」や「新しい上司は部下の指導に厳しいという噂がある」は、Aさんが事実として確認したことではありません。まず、事実と自分の想像を分けましょう。これについては「年末スペシャルプログラム2023 今の仕事を自分の糧にするワーク⑦ 「Fact事実」と「Thought考え」を見極める癖をつける」でも説明しましたが、自分が想像を膨らませている事と、事実とを分けるようにして、事実に向きあう練習をすると、余計な心配や不安感を減らすことができます。
質問➁:その変化がなぜ自分にとって問題だと思うのか?
- 統合後の新しい部署の組織がまだよくわからないから、自分の立場がどうなるのか不安だ。
- 自分の仕事の内容や方法が変わったら、これまでのやり方を変えないといけないから、不安である。これまでのように上手くできないかもしれない。
- 部下の指導に厳しいという噂の上司になるから心配だ。叱られることが多くなるかもしれない。
質問➂:➁の問題だと思っていることは事実なのか?
- 統合後の新しい部署の組織がまだよくわからないのは事実。
- 自分の仕事の内容や方法が変わるとは決まっていない。事実ではない。
- 新しい上司は厳しいという噂だけれど、実際に会ったわけではない。まだ叱られてもいない。事実ではない。
質問④:変化に対して他の考え方はできるか?
- 統合後の新しい部署の組織はそのうち発表される。自分が不安がっても何も変わらない。正式発表を待つしかない。
- 仕事の内容がいきなり全く新しいものに変わることはないだろう。たとえ内容や方法が多少変わるとしても、学べばいい。今までもそうやって仕事を身に付けてきた。
- たとえ上司が厳しいとしても、理由なしに叱られるわけではない。
質問⑤:変化が自分にメリットをもたらす可能性はあるか?
- 新しい上司が厳しいという噂は本当かもしれないが、統合後の部署のトップに就任するくらいだから有能な人なのではないか。新しい上司の指導を受ける事は、自分の能力アップに繋がるかもしれない。
- もっと興味深い内容の仕事と関わるチャンスがあるかもしれない。
ここまで来ると、部署が統合し、厳しいという噂の新しい上司が来るという変化に対し、今から心配や不安をいろいろ抱える必要はないとわかってきます。または、心配するにしても、それほど深刻に心配しなくてもよいと認識できます。
そして訪れた変化に対し、ただ受け身になって流されるだけでなく、自分からその変化に向かっていく気構えができます。
変化に対する5つの質問とその答えはノートなどに書いておき、変化が起こって6か月などしばらく時間が経った後、実際にはどうだったのかと、変化が起こる前に自分が書き出した事と比べてみることもお勧めです。変化が実は自分にとってよい影響をもたらしたということもあるでしょう。その時には質問⑤のところに書き加えておきましょう。
この変化に対する5つの質問を繰り返していき、記録を残しておくと、変化と直面しても、自分はきっと今回もこの変化に対処できる、変化を自分のメリットにできると自信がついてきます。これは自己効力感の強化に繋がります。
※University of Pennsylvania Whorton のRichard Shell教授による「Achieving personal and professional success」の講義を参考にしています。