今の仕事が自分の理想の仕事でなくても。自分が「やりたい仕事」でなくても。
仕事とじっくり向き合うことで、その仕事を自分のために、自分の将来の仕事のためや、自分がもう少し人生に充実感や幸福感を感じるために活用することができる。
今の仕事を自分の糧にすることができる。
そのための方法や考え方を紹介してきました。
年末年始に仕事から離れられる時間があれば、あるいは一人で静かに過ごせる時間があれば、是非、今の仕事を自分の人生のためにどう活用していくかをじっくり考えてみて頂ければと思います。
自分が仕事に役立つようになることも大事ですが、仕事が自分にどう役立つかも大事です。「お金を得る」ことは大事な仕事の目的の一つですが、それ以外の目的や意味が仕事にあると、仕事の時間は途端に生き生きした人生の時間になります。
このシリーズの最後に、ポジティブ心理学の基礎となる「ユーダイモニア」という概念を重視した古代ギリシャの哲学者アリストテレスの仕事に関する名言を紹介したいと思います。
アリストテレスは「人間が幸福になるためにはどうしたらよいか」という、現代のウェルビーイング学に通じる研究をしました。彼は「徳 」に結び付いた幸福感を「ユーダイモニア」とし、刹那的な喜びや身体的な快楽によって得られる幸福感は「へドニア」と呼んで、この2つを区別しました。ユーダイモニア的幸福感は、楽に得られるものではなく、努力や目標を達成しようとする行動を経て得られるものであり、人間はへドニア的幸福感よりも、ユーダイモニア的幸福感を追求すべきである、その方が人間は幸福を感じられると主張しました。まさに、現代のポジティブ心理学の基礎となる考え方です。
このアリストテレスは「仕事」に関しても、多くの名言を残しています。
世間が必要としているものと、あなたの才能が交わっているところに天職がある。
働く喜びが仕事を完璧なものにする。
人間は、目標を追い求める動物である。目標へ到達しようと努力することによってのみ、人生が意味あるものとなる。
2000年以上前の人物ですが、アリストテレスの言葉は、我々に仕事とは何かという答えを示していると思います。