TRIZ(トゥリーズ)とはロシア語のTeoria Rescheneya Tsobretateiskih Zadachの頭文字を取った用語で、英語でいえばTheory of Inventive Pronlem Solving、日本語では問題解決理論と訳されています。
ロシアのアルトシュラ―氏が考えた問題解決のためのアプローチ法です。アルトシュラ―氏は特許の審査官だったので多くの新発明を審査しているうちに、アイディアを創造するキーを発見し、すべての問題はこのキーを使って解決できるとしたのでした。
彼の考え方は、様々な問題には共通項があり、一般化できる、そして解決法も一般化できる、そのリストを作ることにより、特定の問題の解決に当てはめることができるというものでした。
アルトシュラ―氏は問題と解決策の一般化を通じて、39の問題群(パラメーターと呼ばれます)と、それらを解決するための40のキー(発明原理と呼ばれます)をリスト化しました。このリストを参照して39のパラメーターのうちの問題になっている点は何かを特定し、それを解決するために40の発明原理のうちどれかを適応することにより、特別な知識や能力がない人でも、発明的な発想によりアイディアを創造し問題を解決できると主張したのでした。
【39のパラメーター】
- 運動物体の重量
- 静止物体の重量
- 運動物体の長さ
- 静止物体の長さ
- 運動物体の面積
- 静止物体の面積
- 運動物体の体積
- 静止物体の体積
- 速度
- 力
- 応力・圧力
- 形状
- 物体の安定性
- 強度
- 運動物体の動作時間
- 静止物体の動作時間
- 温度
- 照度・輝度
- 運動物体の消費エネルギー
- 静止物体の消費エネルギー
- 動力
- エネルギーの損失
- 物質の損失
- 情報の損失
- 時間の損失
- 物質の量
- 信頼性
- 測定精度
- 製造精度
- 物体が受ける有害要因
- 物体が起こす有害要因
- 製造の容易性
- 操作の容易性
- 保守の容易性
- 適応性
- 装置の複雑性
- コントロールの困難性
- 自動化のレベル
- 生産性
【40の発明原理】
- 分割原理
- 分離原理
- 局所性質原理
- 非対称原理
- 組合せ原理
- 汎用性原理
- 入れ子原理
- つりあい原理
- 先取り反作用原理
- 先取り作用原理
- 事前保護原理
- 等ポテンシャル原理
- 逆発想原理
- 曲面原理
- ダイナミック性原理
- アバウト原理
- 他次元移行原理
- 機械的振動原理
- 周期的作用原理
- 連続性原理
- 高速実行原理
- 災い転じて福となす原理
- フィードバック原理
- 仲介原理
- セルフサービス原理
- 代替原理
- 高価な長寿命より安価な短寿命原理
- 機械的システム代替原理
- 流体利用原理
- 薄膜利用原理
- 多孔質利用原理
- 変色利用原理
- 均質性原理
- 排除/再生原理
- パラメータ原理
- 相変化原理
- 熱膨張原理
- 高濃度酸素利用原理
- 不活性雰囲気利用原理
- 複合材料原理
世界に存在する問題も、それを解決すためのアイディアも、この39と40のリストの中に見つけられるとアルトシュラ―氏は考え、TRIZを支持する人は世界中に広がりました。
一見、エンジニアやクリエイターなら別にして、私達が日常で遭遇する問題や探している解決法とは縁がないようなリストに見えるかもしれませんが、一般化されたリストを見ることによって、自分では思いつかなかったアイディアを思いついたり、問題を捉える方法が変わったり、新しい視点を見つけたりすることができます。
では具体的にどのようにこの39と40のリストを使うのか、次回は例を示していきましょう。
※Imperial College of London の講義「Creative Thinking」を参考にしています。