イギリスのブリストル大学の教授ブルース・フッド氏(Bruce Hood)が出版した『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』には、人はどうしたら幸せだと感じられるか?について様々なアドバイスが書かれています。イギリス版ウェル・ビーイングのヒントと言えるでしょう。ポジティブ心理学や発達心理学と重なる部分も多いのです。
フッド氏の本の中から、私達の毎日の生活の中で実践しやすい「幸せだと感じる方法」を紹介していきましょう。
前回、怒りや心配などの否定的な感情が沸いた時に、自分自身と感情とを区別するフレーズを口に出すことをお勧めしました。
特に、特に怒りの感情は自分や周囲の人達を傷つけ、人間関係に悪影響を与えがちです。それが職場における人間関係であれば、その後の仕事の進捗や職場の雰囲気に大きく影響してきます。
そこで相手に対して怒りや不満が沸いてきて口論になった時に、口に出すフレーズを変えてみましょう。
多くの場合、以下のように相手を責めると思います。
- 「あなたは全然わかっていない!」
- 「あなたはなぜそうするの?」(あるいはそうしないの?)
代わりに
- 「私は自分の考えをはっきり伝えてなかったわね」
- 「私の説明が明瞭でなかったわね」
- 「私の指示がわかりにくかったかもしれないわね」
と、「私」が相手に対して対応が十分でなかったかもしれないと考える立場から、発言してみましょう。
「私」は十分説明し、はっきり指示をしたと思っているかもしれませんが、相手から見ればそうではなかった可能性は常にあるのです。その可能性があることを受け入れ、まずは「私」が考えや指示を十分伝えていなかったかもしれないという立場を取り、相手に手を差しのべてみましょう。
- 「私は自分の考えをはっきり伝えてなかったわね。私はこの企画では部長を説得できないと思うの。具体的なデータが入っていないから」
- 「あなたにミーティングの開始時間を守ってもらいたいと思っているのだけれど、なぜミーティングに遅刻するのか、理由を教えてくれる?」
- 「私の指示が明確でなかったわね。私は事務用品の予算を品目ごとに計上してほしいとお願いしたいの」
このように「私は~」で始めて、相手の立場からすれば明確でなかったかもしれない「私」の考えを説明し、口論ではなく、建設的な議論にもっていくようにしましょう。
相手を批判、非難したい時に「You」(あなたは)メッセージは極力避けたほうがいいです。「I」(私は)メッセージを使いましょう。「私は~」で始めた方が、建設的な意見を交わしやすくなると思います。
※Bruce Hood著『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』を参考にしています。