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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

イギリス版幸せだと感じる方法⑪ ネガティブ情報量を制限する

イギリスのブリストル大学の教授ブルース・フッド氏(Bruce Hood)が出版した『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』には、人はどうしたら幸せだと感じられるか?について様々なアドバイスが書かれています。イギリス版ウェル・ビーイングのヒントと言えるでしょう。ポジティブ心理学や発達心理学と重なる部分も多いのです。

フッド氏の本の中から、私達の毎日の生活の中で実践しやすい「幸せだと感じる方法」を紹介していきましょう。

今回はネガティブ・バイアスについて説明しましょう。

原始の世界を生き抜き21世紀まで命を繋げるために、我々の祖先は周囲や未来に起こりそうな危険に対して警戒し、備えなければなりませんでした。その原始の警戒の本能が我々の脳の中には深く埋められており、現代でも、自分や自分の仲間にとって危険になりうる事態には早く気づき警戒するよう、脳はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報により強く、より素早く反応する仕組みになっています。その方が生き残る確率が高いからです。

我々はもうサバンナでライオンの食べ物にされることを恐れながら暮らしているわけではありませんが、原始から受け継がれてきた「ネガティブな情報に警戒せよ」というシグナルは、ずっと存在しているのです。

哲学者ショーペンハウアーは「We feel pain but not painlessness」(我々は苦痛は感じるが、苦痛がないことは感じない)と言っていますが、ニュートラルやポジティブな状態よりも、ネガティブな状態に我々はより強く素早く反応することを理解しておきましょう。もともと我々は生物としてネガティブな事に目が行きやすく、ネガティブな事を想像しやすいのです。いろいろな状況で暗い事ばかり考えたり不安になったりしても、自分が特別根暗、あるいは心配性なのではなく、生物としての本能だと思えばよいのです。

しかし、このネガティブな情報に反応しやすい人間の特徴をマスメディアはフルに活用していることを認識しておきましょう。マスメディアは「If it bleeds, it leads」(ひどい出来事ならそれだけよく読まれる)という諺に象徴されるように、悪いニュースの方が人々の関心を引きやすく、視聴率を稼ぎやすいので、ネガティブなニュース中心に報道します。そして視聴者を引き付けるために、センセーショナルなタイトルを乱発します。

いくらロシアとウクライナの戦争が心配だからといっても、一日中そのニュースばかり追って心配していたら、ただでさえネガティブな情報に反応しやすい脳はオーバーヒートしてしまいます。脳の中で常に警戒信号がともり、アラームが鳴りまくっている状態になります。不安が不安を呼ぶ状態になり、メンタルはぼろぼろになってしまいます。

私達は、マスメディアの策略にはまらないよう、私達の脳のネガティブアラームが鳴りっぱなしにならないよう、マスメディアに対する自分のルールを作りましょう。具体的には以下のルールをお勧めします。

  1. テレビやネットなどでニュースに触れる時間を1日30分以内というように制限する。
  2. 同じようなニュースをリピートしない。異なるテレビチャンネルを行き来したり、ネットサーフィンして、同じようなニュースを追いかけない。ニュースは一度見聞きすれば十分で、繰り返して同じような情報を追いかけない。
  3. 一日に一個でいいので、心温まるポジティブなニュースを自ら探してみる。

最近ではネガティブなニュースばかりを報道するメディアに対し警鐘を鳴らすメディアも存在します。ポジティブなニュースだけを集めて発信している「good news network」や「positive newsがありますので、それらをチェックして笑顔になるニュースを読んでみることも一つの方法です。

good news network
positive news

あるいはポッドキャスト番組で毎週土曜日(イギリス時間)に配信される「BBC Global News Happy Pod」は世界中のポジティブなニュースだけを集めて配信しますので、安心して聞くことができるポッドキャスト番組です。(すべてオリジナル版は英語です)

日本語ですと、「世界・日本の幸せニュース」がポジティブニュースを多く集めて発信しています。(ただし、すべてがポジティブなニュースばかりではなく、批判的な内容の記事も掲載されることがありますから注意)

世界と日本の幸せニュース

もともとネガティブになりやすい、ネガティブな情報に反応しやすいという人間の特徴を理解して、必要以上にネガティブな情報をメディアから取り入れないよう、自分の中に取り込むネガティブ情報の量を意識的に制限するようにしましょう。

※Bruce Hood著『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』を参考にしています。

 

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