オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

イギリス版幸せだと感じる方法⑫ ファンダメンタル・アトリビューション・エラーに気づく

イギリスのブリストル大学の教授ブルース・フッド氏(Bruce Hood)が出版した『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』には、人はどうしたら幸せだと感じられるか?について様々なアドバイスが書かれています。イギリス版ウェル・ビーイングのヒントと言えるでしょう。ポジティブ心理学や発達心理学と重なる部分も多いのです。
フッド氏の本の中から、私達の毎日の生活の中で実践しやすい「幸せだと感じる方法」を紹介していきましょう。

今回はファンダメンタル・アトリビューション・エラーについて説明しましょう。

心理学でいうバイアスとは、先入観や偏見などによってある事柄や人物を誤って認識することです。特にファンダメンタル・アトリビューション・エラー(Fundamental attribution error)、日本語でいえば「基本的な帰属の誤り」は、我々誰もが陥りやすいバイアスです。

物事や人物がなぜそうなのかという理由や原因を、その人物の性質のせいにする(帰属させる)。これがファンメンタル・アトリビューション・エラーです。

例えば失業してしまった人がいるとします。その人が怠惰だから、その人が懸命に働かなかったからそうなったと、私達はその人物の所業や性格に、理由を求めやすいのです。その人物はたまたま厳しい状況が続く業界で働いていた、会社が人員整理をしなくてはならず年齢で該当してリストラされたなど、必ずしもその人物のせいによるものではなく、状況や環境に理由がある場合でも、我々は人物の性格に理由を見つけやすい心理傾向にあります。

一方、自分が失業した時、我々は自分の所業や性格のせいにするのではなく、社長の経営方針が間違っていて業績が悪化したからとか、所属していた部署の業績がたまたま落ち込んだからなど、環境や状況を理由にすることが多いのです。

他人に対しては、その人物の性格や所業が結果の原因になり、自分に対しては、環境や状況が原因になると考えがちです。

自分は公平で客観的な人間だと思っていても、ほぼすべての人間がこのバイアスを持っていると認識した方がよいでしょう。Just-desert thinkingという言葉が英語にはあります。「物事の結果をその人物の当然の報いだと考える」思考スタイルです。この思考スタイルが我々には沁みついていると認識しましょう。

そして、このバイアスは、他の人から自分にも向けられていることを認識しましょう。他の人があなたのことを判断する時に、このファンダメンタル・アトリビューション・エラーによって判断されていることが多いという現実に気づきましょう。

たとえば、あなたとしてはたまたま寝坊して髪が乱れたまま出社しただけで、昨夜子供を寝かしつけるのに手間取り夜遅く寝ることになってしまっただけだと思うかもしれません。しかし髪がぼさぼさで出社したあなたを見た上司は、「だらしがない奴だ。身なりを整えることもできないなんて性格がルーズなんじゃないか。大事な仕事を任せられる奴ではない」とファンダメンタル・アトリビューション・エラーによって判断するかもしれないのです。あなたにとってたまたま夜寝る時間が遅くなる状況があったと考えていても、他の人から見た時にあなたの性格がルーズだから髪を整えずに出社したと、理由付けをあなたの性格に帰属させるかもしれないのです。

ファンダメンタル・アトリビューション・エラーは、取り除こう、排除しようと思ってもなかなか難しいです。ただ、そういうバイアスをみんなが持っている、自分も周りも持っているということに気づくことにより、他人に対する決めつけや他人に対する厳しい態度を改めるきっかけになります。そして他人への思いやりの気持ちを持ちやすくなります。

決めつけや偏見から離れて、他の人の立場を理解しようとしたり、気持ちを思いやろうとする態度は、あなた自身の心理も楽にします
自分が他人に対し、厳しい目を向けている、批判ばかりしていると思ったら、ファンダメンタル・アトリビューション・エラーではないか?と自分に自問してみましょう。

※Bruce Hood著『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』を参考にしています。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA