イギリスのブリストル大学の教授ブルース・フッド氏(Bruce Hood)が出版した『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』には、人はどうしたら幸せだと感じられるか?について様々なアドバイスが書かれています。イギリス版ウェル・ビーイングのヒントと言えるでしょう。ポジティブ心理学や発達心理学と重なる部分も多いのです。フッド氏の本の中から、私達の毎日の生活の中で実践しやすい「幸せだと感じる方法」を紹介していきましょう。
楽観性を身に付けることが、幸せを感じるために重要であると前回まで説明してきましたが、一つ気をつけたいのは楽観性と希望とは違うことです。
楽観性を持つ事、英語でいえばOptimismオプティズムです。希望を持つことはHopeホープです。この2つは似ているようで異なっているとフッド氏は説明しています。
希望することは、大切なことについて叶うように望む心理状態で、叶う可能性があまり高くなく、自分の力の及ぶ範囲ではない事が多いのです。
一方、楽観性を持つ事は、よい結果を期待しつつ自分でその実現のために時間をかけても努力していく事だとしています。
ただ希望を持っている状態というのは、自分でその希望実現のために動き出していない。しかし、楽観性を持っている状態は、自分で目標や目的の実現に向かって動き続けている。楽観性と希望の違いは自分で動いているか否かが大きいと考えます。
そして、自分で目標や目的に向かって動いていると、必ず障害や問題に直面します。問題に直面した時に、それを乗り越えていけるかどうかが重要です。
目標や目的を実現する過程では、必ず障害や問題、トラブルがある。そう割り切っておきましょう。何の問題もなくスムーズに物事が成し遂げられたという事態は、100回のうち1回あるかないかでしょう。問題は起きるのです。私達を諦めさせようとする障害に必ず直面するのです。そう思っていれば、いざ問題が起きても慌てません。
しかし、問題が起きた時にただ慌てない心理状態だけでは、問題は解決しません。どのような問題や障害が起こりそうか、あらかじめ予想しておき、その問題への対処法を考えておくのです。代表的な対処法としてはWOOPがあります。
「年末年始スペシャルワーク⑲ WOOPを試してみましょう。」で詳しくWOOPについて説明していますので、参考にしてみて下さい。
ここで簡単にWOOPについて説明しますと、WOOPとは、Gabriele Oettingenさんが著書「Rethinking Positive Thinking」の中で提唱した方法です。(この本は日本でも出版されています。「成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則」ガブリエル・エッティンゲン著 講談社)
- think about your Wish
- the best Outcome
- potential Obstacles
- if/then Plan
から大文字部分をとってWOOP(ウープ)と呼びます。
- 叶えたい目標や目的を明確にし
- 実現した場合の再考の結果を想像し
- 途中で直面する障害を想像し
- その障害をクリア―するためのプランをあらかじめたてておく
この4つのプロセスによって、障害やトラブルで挫折することなく、目標や目的を達成できる確率が高まっていくのです。
※Bruce Hood著『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』を参考にしています。