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ポジティブ心理学実践ワーク
ポジティブ心理学

イギリス版幸せだと感じる方法⑱ 思考抑制の罠から抜け出す

イギリスのブリストル大学の教授ブルース・フッド氏(Bruce Hood)が出版した『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』には、人はどうしたら幸せだと感じられるか?について様々なアドバイスが書かれています。イギリス版ウェル・ビーイングのヒントと言えるでしょう。ポジティブ心理学や発達心理学と重なる部分も多いのです。フッド氏の本の中から、私達の毎日の生活の中で実践しやすい「幸せだと感じる方法」を紹介していきましょう。

嫌だなと思う事や、悩んでいる事をなるべく考えないようにしよう、無視しよう、忘れようとしても、返ってその事ばかり考えてしまうことがあります。例えば来週、苦手な顧客とのミーティングがあると思うと、考えないようにしようと思ってもずっとその事ばかり繰り返し考えていたりします。「考えないようにしよう」と思うことでかえってその事にスポットライトが当たってしまい、余計考えてしまう脳の仕組みなのです。白熊効果と呼ばれることもあります。白熊の事は考えないで下さいと指示されると、白熊を思い浮かべて、結局白熊の事ばかり考えてしまうことです。

このような脳の働きを、ironic thought suppression皮肉的な思考抑制といいます。私達の脳の中では、しょっちゅうスポットライトがあちこち動き回っていて、一か所のみにスポットライトが当たっていることがまずありません。たいていはあちこち思考が回っていくマインド・ワンダリングか、同じような事を繰り返して考えているルミネーション(反芻)という動きをしています。「考えないようにしよう」と思うことにも、動き回るスポットライトがチラチラと当たってしまうわけです。

思考のスポットライトがあちこちせわしく動き回っていると、一つのタスクに集中できませんし、いろいろな事を同時に頭の中で考えて作業の効率は落ちますし、ずっと嫌な事や忘れたい事を頭の中で繰り返してストレスを強めることになります。

そこで、思考のスポットライトを1か所に固定、1つの事に思考を集中することが、メンタルヘルス的に大切になります。しかし、人間にとってこれはなかなか難しい作業です。思考があちこち飛び回る仕組みに脳はもともとできていますので、意識して一つの事に思考のスポットライトを当てる練習をする必要があります。

そのために有効な方法の一つが瞑想です。特にマインドフル瞑想と呼ばれる、特定の宗教とは関係ない、心の中を鎮める瞑想が役立ちます。

しかし、一人静かな場所で座って目をつむっても、なかなか集中できない、いろいろな思いがわいてくる、瞑想にならないという人も多いと思います。

そこで、ガイド付き瞑想をすると、瞑想することに集中しやすいと思います。フッド氏はHeadspaceというアプリを推奨しています。

他にも無料のYoutube動画やポッドキャストで瞑想をガイドしてくれる内容のもの(guided meditation)がありますので、利用してみてはいかがでしょうか。

5分でも10分でも、瞑想して心を鎮める時間を持つようになると、思考のスポットライトを1か所に集中しやすくなり、あちこち思考がさまようマインドワンダリングが減少していきます。

一つのことだけに集中できる。これは人間にとって結構すごい事なのです。思考のフォーカスを自分の望む所だけに当てることができれば、嫌な事をくよくよ考える状態に陥らずに済むようになります。

瞑想の方法については「マインドフルネス⑥ RAIN」「年末年始スペシャルワーク⑮ 5分間瞑想をしてみましょう。」でも方法を紹介していますので、参考にしてみて下さい。

年末年始スペシャルワーク⑮ 5分間瞑想をしてみましょう。年末年始の過ごし方...
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※Bruce Hood著『The Science of Happiness: Seven Lessons for Living Well 』を参考にしています。

 

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