50歳を過ぎてくると、人生の分岐点に立つ人が多くなってきます。
仕事は中堅的立場に、あるいは既に早期退職や役職退職が目の前に迫っていたり、ある程度職場における自分の行く末や限界が見えてしまう。
家庭では、子供がいる場合は、子供が大学生になったり、家を出て一人立ちしたり、密接だった親と子供という関係から解き放たれていく頃です。
自分の体に不調や加齢現象が出てきたり、自分の親や家族が病気になったり体調が悪くなったり。
いろいろな変化を経験するのが50歳代だと思います。
でも、50歳代といっても、人生の半分をちょっと過ぎただけなのです。これから、もう一花、ふた花咲かせることも十分に可能な年齢。
ただ年を取っていく、同じことを繰り返していく、離れてしまった子供を思って寂しさに埋もれていく、仕事の限界が見えてやる気がなくなる、何もしない「老後」が近づいてきて空虚さを感じる・・・。
それではもったいない。そんな時には、50歳からの人生も十分に楽しむことができると実感することが大切です。歳を取っていくことは止めようがないですが、楽しんで歳を取っていくことは可能です。
ポジティブ心理学は、そのためのヒントやスキルを多種多様に提供してくれています。
このシリーズでは、50歳代からの人生から空虚さを追い払って、楽しく生きていくために役立つ方法を、ポジティブ心理学の研究・調査から紹介していきたいと思います。
まずは自分に残されている時間を確認しましょう。
線を引いてみる
日本人の平均寿命は女性が87.14歳。男性は81.09歳です。人生88年あると仮定しましょう。
白い紙に横線を引いて下さい。真ん中に44歳の印を入れましょう。そして自分の年齢がその横線のどの位置か、印をつけましょう。目分量でいいですし、物差しを使って正確に計ってもいいですし、方眼用紙を使ったり、エクセルを使って書いてもいいでしょう。
88年あると仮想定している人生の時間において、今の自分はどこに立っているか、あとどれくらいの時間が残っているか、視覚で確認しましょう。50歳を過ぎているなら、残された時間は最長で38年。逆にいえば、人生の半分以上の時間をあなたはもう使ってしまっているのです。自分の時間が限られたものであることをしっかりと認識しましょう。

残された月曜日を数えてみる
Jodi Wellman氏の『You Only Die Once: How to Make It to the End with No Regrets』によれば、自分の人生にあと幾つの月曜日が残っているか、数えてみることを勧めています。平均寿命から自分の年齢を引いて、52をかければ、自分に残された月曜日の数がわかります。
あなたが今50歳であれば、(88-50)×52=1976の月曜日が、あなたのこれからの人生に残されています。
永遠に月曜日があるわけではないのです。
この残された月曜日の数は、毎月、あるいは毎年数えてみることをお勧めします。
残された月曜日の数が1000を切ってくると、自分に残された時間が限られていることを痛感するでしょう。
自分に残された時間は有限。
しかも、折り返し地点は過ぎている。
でも、まだ、ある程度の時間はある。
何もしないで過ごすにはもったいないほどの時間がまだある。
その事を、視覚的に、数値的に確認しましょう。
自分の立ち位置と時間の有限さをしっかり認識することがはじめの一歩です。