人間、様々なネガティブな感情を抱くものです。人間の脳は将来のリスクを察知し、予想して対処するようにできていますから、ネガティブな情報を集めやすいのです。人間が生物として生きていくためには役立つ機能ですが、ネガティブな感情を抱きすぎるのも私たちの生活に悪影響です。
ポジティブ心理学の観点から、代表的なネガティブ感情12種類に対処する方法を身に着けておきましょう。今回は他の人に対する「妬み」です。
職場の同僚や、友人、果ては芸能人に対して、私達は妬みや嫉妬を感じます。特にSNSが発展している現代においては、インスタグラムやYoutubeを通じて、簡単に「素晴らしい生活」を送っている人々の映像を目にすることになります。
自分と比べて何という違いだろうと落ち込んだり。あるいはなぜこの人だけこれほど恵まれているのか、不公平ではないかと嫉妬したり。
他人との比較は、たまに自分への叱咤激励になることもありますが、たいていは、他人への嫉妬でいらいらすることになります。現代社会では、自分とは全く接点がない人達(インフルエンサーや芸能人など)にまで、SNSを通じて嫉妬や妬みを感じたりします。
「Comparison Trap:コンパリソン・トラップ」と呼ばれる心理で、日本語でいえば「比較の罠」となります。他の人と比較して、自分の立場や境遇を哀れんだり、落ち込んだり、素晴らしい生活を送っている(とSNS上では思える)人達を妬み、過激になるとネットで書き込みをしたりして攻撃することになります。
しかし、自分とその他人を比較していらいらしても、何ら自分にメリットはありません。(憧れの対象として、比較することでその人から何かを学び取るというのなら別ですが)
現代社会は、比較することでビジネスの多くが成り立っています。比較させて足りないものを補わないといけないという気持ちにさせた方が、商売に繋がるからです。
他人と比較ばかりして、そのたびに落差に落ち込む、あるいはその他人に妬みを覚える、という場合、比較するのは他人ではなく、過去の自分にしてみましょう。「昨日の自分」と比べてみましょう。
他人をいくら妬み、羨んでも、あなたはその他人にはなれないのです。
比較すべきは過去の自分です。
昨日の自分に比べて、今日の自分は、生活が少しは改善しているか?理想の暮らしに少しは近づけているか?
過去の自分と、今の自分を比較しましょう。
- 昨日、会議で一回も発言できなかった自分。今日は、一回だけ、自分の意見を述べることができた。
- 昨日は朝寝坊してしまった自分。今日は目覚まし時計が鳴ったらすぐ起きた。
- 昨日は英語の勉強を怠けた自分。今日は5分だけだけど、英単語を覚えた。
- 昨日は掃除しなかったけれど、今日は朝部屋を掃除してから出勤した。
たとえ小さな変化であったとしても、今日の自分は、昨日の自分よりも、少しだけ前進している部分があるかもしれません。
その前進は自分しかわからない変化かもしれませんが、それでよいのです。大切なのは自分の気持ちなのですから。
昨日の自分と今日の自分を比較することに徹して、自分と他人との比較はやめましょう。
今日の自分は昨日の自分の延長線上にありますが、嫉妬を感じる他人は、いつまでたっても自分の延長線上には乗らないのです。
他人に嫉妬や妬みを感じたら、「比べるべきは昨日の自分」と自分に言い聞かせましょう。
そして「昨日の自分」に比べ、「今日の自分」はどうか?という比較に集中してみましょう。