人間、様々なネガティブな感情を抱くものです。人間の脳は将来のリスクを察知し、予想して対処するようにできていますから、ネガティブな情報を集めやすいのです。人間が生物として生きていくためには役立つ機能ですが、ネガティブな感情を抱きすぎるのも私たちの生活に悪影響です。
ポジティブ心理学の観点から、代表的なネガティブ感情１２種類に対処する方法を身に着けておきましょう。今回は、自分はなんてだめな人間なんだろうという「自己否定」です。
こんなこともできないなんて、自分はなんてだめなんだろう。
頑張っているつもりだけど結果が出ない。自分は能力がもともとないのだ。
自分が何をしてもダメなんだ。
仕事や勉強、人間関係において、自分の可能性や能力を否定して、「自分はだめだ」という感情に囚われたことが、誰でも一度はあるのではないでしょうか。
自己否定は、努力することの放棄や、投げやりな生活態度や、人間関係を壊すなど、自分と周りの人間に悪影響を与えていきます。
自分の能力や可能性を諦めてしまうことで、もしかしたら開けたかもしれない未来を消してしまいます。
そうならないために、「自分はだめだ」と感じたら、まず、自分の近場でできることを探してみましょう。
『幸福優位７つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』を書いたショーン・エイカー氏によれば、「自分はダメだ」と感じる時にはゾロ・サークルというテクニックを使うことを勧めています。
ゾロ・サークルとは、映画「怪傑ゾロ」から来ています。映画でゾロが武芸の術を磨く時に師匠から、身の回りに小さな円を描かれ、その円の中でまずは武芸を練習しなさい、その円の中で縦横無尽に剣を使えるようになったら、その円を段々と広げて、練習していきなさいと指導されます。円が広がっていくにつれ、ゾロは剣術をマスターしていくのです。
このゾロ・サークルの発想を私達にも応用してみましょう。
自分はだめだと落ち込んだら、まず今自分がいる場で何かできることはないか、探してみましょう。
あれやこれや、たくさんの事をしてみようとせず、大がかりな作業を考えることもせず、まずは今この場で自分がすぐできることはないか、考えてみましょう。
- 失敗したなら、その失敗した理由と原因を紙に書き出してみる。
- 誰かと口論してしまったら、相手に謝罪のメールを書いてみる。
- 気持ちを落ち着けるために背伸びをして深呼吸を繰り返す。
一番小さいゾロ・サークルの円の中で、自分ができることを探して行ってみましょう。
「自分はダメだ」という感情が沸いてくることを抑えることは難しいです。
人間は感情を制御しようと思っても、なかなかできません。
ですから感情よりも行動をコントロールするようにしましょう。
「自分はダメだ」という感情を引きづったままでもよいので、その場でできる行動を実行してみましょう。
一個でも行動が取れたら、次にもう少しゾロ・サークルを広げて、出来ることを探します。
半径５メートルくらいに円を広げて、自分ができる行動を考えてみましょう。
半径５メートルくらいの円の範囲となると、同僚や友人がその円の中に入るでしょう。化粧室や食堂など別のスペースが円の中に入るかもしれません。少し大きくなった円の中で、自分が取れる行動を実行してみましょう。
- 失敗したなら、同僚や友人に話を聞いてもらう。
- 誰かと口論してしまったら、冷静になるために、その場を離れて別の部屋に行く。
- 気持ちを落ち着けるために温かい飲み物を淹れて飲む。
などです。
次はもっとゾロ・サークルを広げてみましょう。
オフィス全体、学校全体、家全体に行動範囲を広げて、自分が取れる行動を考えてみましょう。
- 失敗したなら、原因をつきとめ、その原因をなくす、あるいは改善するために本を読む。
- 口論してしまったら、仲直りの印に相手に花やチョコなど小さなギフトを買って渡す。
- 気持ちを落ち着けるために、近くの公園を一周歩く。
などです。
行動を起こしているうちに、「自分はダメだ」という自己否定の感情から離れ、「ではどうしようか」「どうしたら改善できるだろうか」「解決する方法はないだろうか」という、HOW（どのように）の方向に思考が動いていきます。そうなると「自分はダメだ」という気持ちは鎮まっていきます。
重要なのは、行動を起こすこと。
感情ばかりにフォーカスしないこと。
何かの行動を起こすことに、気持ちを引っ張っていくことです。
最初は無理をせず、小さな身の回りの範囲内でできることから、取り掛かります。たいてい自分一人だけで、すぐに行動できることが多いからです。
それこそゾロ・サークルの利点です。
