心理学博士のJenny Taitz氏はその著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』(ストレス・リセット:あなたの体と心を数分で穏やかにする方法)の中で、ストレスにすぐ対処するストレス・リセットの方法を紹介していますが、加えて、少し時間をかけて繰り返し練習することでストレス耐性を強めるストレス・バッファーを構築する方法も紹介しています。
ストレス・バッファーの5つ目として紹介したいのは、「感謝することを書く」ことです。
前回エクスプレッシブ・ライティング(感情表記)をすることで、感情や思考を整理できると説明しましたが、書くことは、思考や感情を文字化することですので、気持ちをすっきりさせる効果があります。

ただ、書くことに慣れていない人は、エクスプレッシブ・ライティングをしようと思っても、初めはうまくいかないかもしれません。何をどのように書いていったらよいのか、戸惑うかもしれません。
そこで、まず、感謝することを書き出すことから始めてみましょう。
以下のような感謝の対象を書き出してみてください。全部書き出す必要はありません。その日の気分で、一つ選んで書き出せば十分です。
- 今日の出来事の中で、感謝することを3つ。
- 今日うまくいったと思う事と、うまくいった理由を書く。
- 今日ありがとうと言った人、あるいはありがたいと思う人を書き出す。
- 嫌だなあと思った出来事を1つ選び、そこから感謝できることを(多少無理やりにでも)探して書く。
失敗続きの嫌な一日だったと思うような日であっても、何かしか感謝することを見つけるよう考えることで、脳がネガティブ・バイアスから抜け出し、ポジティブな事象に注意が向くようになります。
また、失敗や嫌な思いをした出来事に、感謝することを見つけだすことは簡単なことではありませんが、そこは無理にでも、こじつけでも一つは感謝できることを見つけるようにします。
例えば、会社に遅刻して上司に皆の前で叱責されて、恥をかいたし、落ち込んだとします。何も感謝することはない出来事に思えますが、そこは無理やりにでも、感謝することを探してみます。
- 上司に叱責されたけれど、それでクビになったわけではない。会社に私の席はまだある。
- これだけ叱られたから、もう二度と遅刻しないようにしようと強く思えた。
- 顧客との会議に遅刻したのではなかった点はマシだった。
- 後で同僚のK子がドンマイと慰めてくれた。K子に感謝。
感謝できることを見つけると、その嫌な出来事にも「何か意味があった」「失敗から自分は学んだ」と、自分の中で消化しやすくなり、自己肯定感を高めるきっかけにもなります。そして、ストレスを軽減していきます。
一日の終わりに、感謝する対象を探して書き出すことを習慣にしていきましょう。
※Jenny Taitzの著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』を参考にしています。