心理学博士のJenny Taitz氏はその著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』(ストレス・リセット:あなたの体と心を数分で穏やかにする方法)の中で、ストレスにすぐ対処するストレス・リセットの方法を紹介していますが、加えて、少し時間をかけて繰り返し練習することでストレス耐性を強めるストレス・バッファーの構築する方法も紹介しています。
ストレス・バッファーの8つ目として紹介したいのは、「3分間だけマインドフルネス」することです。
マインドフルネス。Mindfulness。「いま、ここ」に集中することです。
対照的に、心があちこちにさ迷い、いろいろな考えが同時に浮かんだり消えたりする状態がマインドワンダリング(mindwonderinhg)。私達の多くは、たいていこのマインドワンダリングの状態にあります。
目の前の仕事に集中しているようでも、ランチに何を食べようか?LINEの返信は来たかな?上司のメールに返事しないといけない、帰ったら夕食何を作ろう?来週のデートはどの服を着ていこう?など、様々な思考が浮かんでは消え、浮かんでは消えて・・・を繰り返しているのです。
まるでスマホで複数のアプリを同時に開いているようなものです。スマホで複数アプリを同時に開いて使っていたら、バッテリーの消耗は激しくなりますし、動きがスローになったり、アクセスに時間がかかったりしますよね。人間の脳も同じです。幾つもの(しかも、ほとんど関係がない)事を考えていると、脳が疲れてしまいます。
私たちの脳が一日に考えている回数は1.2万~6万回だそうです。自分では意識していなくても、こんなにも多くの思考を、そして多くをパラレルに、進行させているのです。脳も疲れるはずです。
おまけに、その思考のうち9割が前日と同じ内容を繰り返していて、8割がネガティブな思考だそうです。
無意識に脳にネガティブな事ばかりを考えさせていれば、ストレスも感じやすくなります。
私達はもともとネガティブ・バイアスがあり、ネガティブなことを考えることは生き抜いていくために必要な警戒装置なので、ネガティブな思考がすべて悪いわけではありません。
しかし、無意識にネガティブ思考をBGMのように脳の中で繰り返していたら、心も脳も疲れてしまいます。仕事のパフォーマンスも上がらないですし、家事もはかどりませんし、楽しいイベントもフルに楽しめなくなります。
そのような事態を避けるために、脳を落ち着かせましょう。あれこれ考えてしまうのは仕方ないにしても、少しだけでも脳を休ませ、クリーンにする時間を持ちましょう。それがマインドフルネスです。
マインドフルネス=瞑想と思う方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。マインドフルネス瞑想という方法はありますが、瞑想ではなくてもマインドフルな状態になれます。
マインドフルネスに慣れていない人は、まずは1日3分間だけ、マインドフルネスになってみましょう。
慣れないとマインドフルネスになろう!と思っても、あれこれ思いが浮かんできてすぐマインドワンダリングの状態になります。
ですから、マインドフルネス初心者は、まず以下のような行動を試してみて下さい。
事前準備
床などの平らな場所に座って、あぐらを組む、あるいは背筋をまっすぐにできる心地よい座り方をする。あるいは椅子に座る。背筋を伸ばすことが重要。目は閉じても開けていてもOK。目を開けている場合は、薄目にして、一か所を見るようにする。3分間のタイマーをセットするか、時計を見える所におく。
最初の1分間
床や椅子の背などに、自分の体のどの部分が触れているか意識する。そして次の3つの質問を自分にします。
① 私は何を感じているか?
② どんな考えが浮かんでいるか?
③ どんな体の動きや感覚を感じているか?
次の1分間
息を吸って、息を吐く。自分の呼吸にフォーカスする。呼吸に合わせて、胸やお腹が膨らんだりへっこんだりすることを意識する。
最後の1分間
呼吸から体全体の意識を広げる。頭、つま先、足、手、腕など、自分の体を部分ごとに意識する。呼吸は続ける。
3分間が終わったら、目をはっきり開きます。
これだけですが、十分マインドフルネスになります。
この3分間マインドフルネスを毎日一回(もちろん一回以上行っても問題ありません)、8週間続けると、マインドフルネスが根付くと言われています。
マインドフルネスの習慣が根付くと、マインドワンダリングの状態が減り、脳の疲労が和らぎ、思考がスッキリしてきて、爽快さを味わえるようになります。
また、分析力や決断力がついたりします。
ぜひ、一日一回、3分マインドフルネスを習慣として根付かせていきましょう。
※Jenny Taitzの著作『Stress Resets: How to Soothe Your Body and Mind in Minutes』を参考にしています。