悪い事が起こった時、思考は極端化する傾向がある、しかも悪い方に暴走する傾向があると知っておきましょう。
新年が始まって、仕事や学校を新たな気持ちでスタート。ところが、年頭からハプニングが起きて、やる気を失い、暗い気持ちになる・・・。やっぱり、私なんてダメな人間だ・・・。
・・・などと、思わないで下さい。
人間は、原始時代から生きてきた先祖の遠い記憶や、脳の仕組みからして、悪い事に敏感になるように出来ているのです。悪い事フォーカスになるのは、人間として当然の遺伝子の働きです。
だからこそ、後天的に、悪い事フォーカスを、よい事フォーカスに変えていく練習が、心地よく生きていくためには大切になってきます。ポジティブ心理学では、その練習方法を科学的調査に基づき追求しています。
悪い事が起こった時に、思考をそのまま走らせると、どんどん悪い方に向かっていきます。思考の暴走列車です。ですから、「あ、思考が悪い方に暴走しているな」と自覚する事が大切です。
ポジティブ心理学では、無力感、自己否定感を持つ悲観的な人がどのような思考の傾向があるか、逆に自己肯定感、楽観的な人がどのような思考の傾向なのかを調べました。その結果、両者は4つの点で対照的な思考の傾向があるとわかりました。
- 一時的vs永遠
- 部分的vs全体的
- コントロールできるvsコントロールできない
- すべて自分のせいではないvsすべて自分が悪い
悲観的で無力感な人は各項目の右側の思考、自己肯定感が高く楽観的な人は各項目の左側の思考をする傾向があったのです。
ただ、人間は、常に悲観的、あるいは常に楽観的であることは珍しく、悲観的だったり楽観的だったり、ミックスの感情を持っていると思います。同じ人間の中にも、悲観的な部分と楽観的な部分が共存し、シチュエーションによって、どちらかの部分が色濃く出ることが多いのです。
そこで、何か悪いことが起こった時に、どのような反応を自分がしているか、ちょっと立ち止まって確認することをお勧めします。そして「思考が悪い方に暴走している」と思ったら、「あ、私の思考が暴走列車に乗っているぞ」と認識し(頭の中で暴走列車が走っているイメージを思い浮かべるといいと思います)、「いやいや、それは現実ではないよね」「それは事実とは違うよね」と自分に反論して、思考の暴走列車をストップしましょう。その時の反論の論拠になるのが、上記の①~④の思考の傾向です。
例を挙げていきましょう。
一時的vs永遠
悲観的な傾向:今朝電車の事故で、通勤に時間がかかり、朝礼に遅れてしまった。これから続く悪運の始まりだ。これからずっと悪いことが続くに違いない。
楽観的な傾向:今朝の電車の事故で朝礼に遅れてしまったけれど、上司にその事はちゃんと報告した。明日は大丈夫だ。
→落ち着いて考えれば、「電車の事故」が毎日起こるわけではないですよね。
部分的vs全体的
悲観的な傾向:仕事で失敗してしまった。もうこれで私の人生終わりだ。週末に恋人と約束があるけど、きっとうまくいかない。ダメになる。
楽観的な傾向:仕事で失敗してしまった。次に同じ失敗をしないようにするしかない。週末は恋人と約束があるから、思いっきり楽しんで、気分転換しよう。
→客観的にみれば、「仕事の失敗」と「恋人との約束」には何の因果関係もないですよね。
コントロールできるvsコントロールできない
悲観的な傾向:資格試験に落ちてしまった。私には無理だったのだ。もう諦めるしかない。
楽観的な傾向:資格試験に落ちてしまった。勉強時間が足りなかったな。次の試験までに、ちゃんと勉強時間を確保できるよう計画をたてよう。
→試験に落ちた事実は変わりませんが、試験は何回でもチャレンジできます。一回の不合格で諦める必要は全くありません。合格するために改善する事を考えることによって、次は合格するかもしれません。
すべて自分のせいではないvs全部自分が悪い
悲観的な傾向:子供のテストの結果が悪かった。私が子供の勉強をみてあげなかったからだ。私のような親だから子供もテストの出来が悪いのだ。
楽観的な傾向:子供のテストの結果が悪かった。子供はどういう所がわからなかったのだろう。子供に聞いてみよう。
→子供といえども、別人格です。親の自分の行動で、子供の行動すべてが決まるわけではありません。
もしも、あなたに悪い事が起きて、「もうだめだ」「やっぱり私は不運だ」などと思考が悪い方に暴走しそうになったら。①~④のどれかの思考に陥っているのではないかと、一度落ち着いて考えてみて下さい。
もしも、新年早々悪い事が起きたとしても、「たまたま」です。思考が悪い方に暴走することをストップしましょう。