具体的なポジティブ・インターベンションの方法に入る前に、ここで、ポジティブ・インターベンション、ポジティブ・エモーション、あるいはポジティブ心理学における「ポジティブ」の意味を、確認しておきましょう。ポジティブな感情を持つ=ポジティブ心理学上のポジティブな状態=ウェル・ビーイングな状態と定義しています。
「ポジティブ」というと、よく以下のように誤解されることがあります。
- いつも前向きでなければいけない
- 常にポジティブ・シンキングなければいけない
- 物事や人のいい面だけを見なければならない
- ネガティブな気持ちになってはいけない
- ポジティブな人は挫折や失敗を起こさない
- いつも明るく楽しければ、ポジティブ
これらの考え方は、ポジティブ心理学とは異なります。ポジティブ心理学においては、
- 常にポジティブでいなければならないということない
- ネガティブな感情を持ってもよい
- ネガティブな状態を経て、ポジティブな状態、ウェル・ビーイングな状態に到達することもある
と考えます。
「赤いマントと緑のマント」の話をしましたが、「赤いマント」はなくしてしまいたい問題を解決するためのパワー、「緑のマント」はこうあってほしいという状態を創り出すパワーだと説明しました。ポジティブ心理学では「緑のマント」のパワーにフォーカスを当てますが、「赤いマント」のパワーも必要です。「緑のマント」のパワーは、ポジティブな感情にダイレクトに結びつきます。一方、「赤いマント」のパワーは、間接的にポジティブな感情に結び付きます。結びつき方、プロセスが異なるだけで、両方とも、ポジティブな感情を創り出すことができます。
ポジティブ心理学でいうポジティブな感情には4つの特徴があることを押さえておきましょう。
- ポジティブな感情にダイレクトに効く事もあれば、間接的に少し時間をおいてからポジティブな感情を生み出す事もある。
- ポジティブな感情は、いつも最適な結果、最善な状態になるとは限らない。
- ネガティブな感情や状態を経過して、ポジティブな状態に到達することもある。
- ポジティブな感情は、人間が活力をもって充実した人生を生きていくためのものであり、ただ楽しい、楽だという感情ではない。
いつでもどこでもポジティブでなければいけないということはないのです。ネガティブな感情も持つのが当然です。そして、ネガティブな感情も、私達をポジティブな状態に持っていくこともあるのです。私達が充実した活力のある人生を送るために(それがウェル・ビーイングな状態です)、ポジティブな感情を増やしていく手段が、ポジティブ・インターベンションと考えて下さい。
ネガティブな感情があっても当然!だからこそ、ポジティブな感情を増やす方法を、ポジティブ・インターベンションで身に着けていきましょう。