ネガティブな感情に対処する方法の一つとして、ネガティブな感情を記録しておく方法があります。前回、ネガティブな感情を記録する5つのプロセスを説明しました。
ネガティブな感情の対処法⑤ ネガティブな感情を記録してみましょう。ネガティブな感情の対処法...
具体的にどうネガティブ感情を記録するのか、例をあげていきましょう。
あなたが次のようなシチュエーションでネガティブな感情を感じたと仮定します。
あなたが職場の会議に参加して意見を述べたけれど、上司はあなたの意見を採用しませんでした。代わりに同僚Aさんの意見が採用されました。あなたは自分が無視されたと傷つき、Aさんは上司に取り入っていると怒りを覚えました。
①ネガティブな感情を抱いた日付と感情の種類を書く。
- 日時:2022年2月1日
- 場所:職場の会議室
- 感情の種類:失望、怒り、嫉妬
➁ネガティブな感情をもたらした原因(人、物、状況)を書く。
- 上司が自分の意見を採用してくれなかった。
- Aさんの意見が選ばれた。
➂なぜ、ネガティブな感情を感じたのか理由を書く。
- 自分の意見が採用されず、上司に無視されたと感じたから。自分が正当に評価されていないと思う。
- Aさんばかり贔屓されていると思う。
- Aさんは上司に取り入るのがうまい。Aさんは上司にゴマすりをしている。
④ネガティブな感情の原因に対し自分ができることがあるか考えてみる。
- 自分の意見が採用されなかったことについてはもう結果は出ているから、自分には何もできない。でも、なぜ、自分の意見が採用されなかったのか、上司は説明してくれなかった。採用されなかった理由を上司に聞いてみようか。
自分ができること⇒上司に自分の意見が採用されなかった理由を聞く。 - Aさんは贔屓されているかもしれない。しかし、私にはAさんが贔屓されないようにすることはできない。これは私にはコントロールできない。
- Aさんは上司に取り入るのがうまい。Aさんは上司にゴマすりをしている。では、私はAさんのようにゴマすりをしたいのか?いや、それはしたくない。でも、上司に取り入るのがうまくできるなら、それにこしたことはない。Aさんは上司に対してどういう行動を取っているのだろう?一日観察してみようか?
自分ができること⇒Aさんの行動を一日観察する。
⑤1週間後振り返ってそのネガティブな感情がまだ存在するか考えてみる。
- 1週間たってみると、Aさんの意見が採用されたことと、Aさんが上司に取り入るのがうまいことは関係ないかもしれないと思うようになった。
- 自分は会議の場で、意見が採用されたかったことで、Aさんより自分が劣っていると上司に言われたように感じて、Aさんに対し過剰に非難していたのかもしれない。
- 上司に自分の意見が採用されなかった理由を聞いたら、Aさんの意見の方がコストがかからず簡単にできるからという単純な理由だった。自分の意見もよかったけれどコスト面が心配だからと上司に説明された。確かに、自分の意見は、コストのことを考えていなかったと思う。次に意見を出す時はコストの面も考えようと思った。
- Aさんの意見が採用されたことには、きちんとした理由があったのだ。Aさんがゴマすりだとかいうことは、関係なかったかもしれない。
- Aさんの行動を気をつけてみていたら、確かに気が利くと思う。資料の印刷や配布をAさんは率先してやっていた。会議の場にも誰よりも早く着席して、資料が全員分あるか確認していた。ゴマすりとは違うかもしれない。Aさんは周囲に気をつかっているのかもしれない。
- 失望:もうない。怒り:もうない。嫉妬:まだAさんに対して少しあるかも。
ネガティブな感情を感じた直後は、感情が生々しく、勢いもありますので、大げさに感じがちです。また複数の種類のネガティブな感情が重なって、ネガティブ度が深まる場合も多いのです。文字に書き出すことで、ネガティブな感情の種類や元を解きほぐすことができます。
そして、自分が行動できることを明確にしたら、それを行動に移してみます。ネガティブな感情に対し、一つでも自分ができるアクションがあると、ネガティブな感情の渦から抜け出すきっかけになります。
そして1週間たって振り返ってみると、「な~んだ」「どうってことないな」と思えることも多いのです。
このネガティブな感情の解きほぐし方は、アンガー・コントロールの方法と似ています。
怒りもネガティブな感情の代表ですが、怒りの感情への対処法はアンガー・コントロールで紹介していますので、そちらも参考にして下さい。
怒りの処理 怒りを分解するアンガーコントロール...