近年心理学の世界で、うつ病ではないけれど、何となく憂鬱で気分が優れない状態を「ラングイッシュ」な状態と名付け、多くの研究が進行中です。新しい種類のネガティブな感情として、研究されています。
「ラングイッシュ Languish」は訳すと「つまらない、嫌な気分、憂鬱、やる気が出ない」となります。日本語的には「何となく憂鬱」が一番当てはまるのではないでしょうか。
うつ病やトラウマ、PTSDという症状まではいかないけれど、憂鬱でやる気の出ない状態がしばらくの間続いている。人生に絶望としているわけではないけれど、人生に希望や期待を持っているかというとそうではない。
特にコロナウィルス感染拡大下で、このような気持ちを抱いたラングイッシュな人々の増加が報告されています。米国の心理学会を中心にラングイッシュという心身状態が研究されていますが、日本でもラングイッシュな気持ちになった人、現在もそうだという人は結構いるのではないでしょうか?私も2020年から2021年にかけてコロナウィルス感染拡大する中、このラングイッシュな気持ちを経験しました。
ラングイッシュな状態の人達には次のような特徴があると報告されています。
- まるで泥の中に足を取られたように、人生に停滞感を感じている。
- 人生に方向性を見出せない。
- 空虚さを抱いている。
- モチベーションを感じることができない。やる気が出ない。
- 「これまでの自分」や「これまでの人生」と何かが違っていると違和感を感じる。
日々働き、家事をして、家族や他人との交流もあるけれど、なんだか気分が晴れない。何かが違う・・・と感じていて、「幸せか?」「充実しているか?」と聞かれればイエスとは答えられない。このような状態が一日だけでなく、1ヵ月、半年と一定の期間続いたら、「ラングイッシュ状態」に陥っているかもしれません。
ラングイッシュ状態だと自覚したら、より深刻な心身の状態に陥る前に、ラングイッシュな気持ちから抜け出すための行動を起こしてみましょう。ラングイッシュ状態から抜け出す対処策としては次のような方法が勧められています。
- 明解で期限の決まった目標をセットする。(特に職場において。上司は部下に対して明解なゴール・セッティングをしてあげることが大切です)
- フィードバックを返す。家族や職場の部下や同僚に対し、意見や感想、励ましなど、行動に対するフィードバックを意識して多めに返しましょう。
- マインドフルネスな行動をする。考えがあちこちに飛ぶ状態(マインド・ワンダリング)ではなく、一点に心を集中させる行動をしましょう。マインドフルネス・イーティングやヨガ、瞑想をしてみましょう。
- 自分の気持ちを書き出す。ジャーナリングと言います。自分の気持ちや考えをノートに書き出しましょう。文字にするだけで、気持ちは結構スッキリします。
- セルフケアをする。お風呂にゆっくり入る、ふくらはぎをマッサージする、ヘッドスパをする、顔の保湿パックをする等、自分をいたわる行動を取りましょう。
- 環境を変える。引っ越しや転職ができれば環境はがらりと変わりますが、そういうわけにもいかないと思うので、家の模様替えや大掃除、整理整頓をしましょう。オフィスのデスクの片づけをしましょう。
- 新しい事を始める。語学、運動、趣味。新しいことを始めてみましょう。脳が活性化されます。
- 基本的な生活をきちんとする。食事、運動、睡眠。この三大要素が乱れたままで、よい精神状態は生まれません。何となく調子悪いなあと思う時でも、健康的な食事をとり、運動で汗を流して、たっぷり眠れば、翌朝気分はすっきりしてきます。
- コミュニティに参加する。職場の友人、趣味の仲間、家族など、身近な人々との交流を意識して行いましょう。会話を増やす、感謝を伝える回数を増やす、電話するなど、メールではなく、言葉を直接伝える機会を増やしましょう。対面が難しければ、ZOOMなどオンライン交流もいいでしょう。
ラングイッシュな状態については、新しい心理学の分野なので、調査結果が出そろっていません。ただ、上に挙げたような行動は、ラングイッシュ状態以外のネガティブ感情の時でも使えますので、気分がずっと暗いなあと感じたら試してみて下さい。