『幸福優位7つの法則』でハピネス・アドバンテージを提唱したショーン・エイカーはこの本の中で、セイレーン効果の説明をしています。誘惑の対象に引き寄せられてしまうことです。
セイレーンは、ホメロスの『オデュッセイア』に登場する、人魚のような海の魔物。その美しい歌声で、船員達を引き寄せて難破させてしまうのです。オデュッセウスはセイレーンの歌を聞いてみたいと思い、船員には蜜蝋で耳栓をさせて、自分はマストに体を縛り付けてセイレーンの海に近づきます。セイレーンの歌が聞こえると、オデュッセウスはセイレーンのもとへ行こうと暴れるのですが、耳栓をしてセイレーンの歌が聞こえない船員達が彼を止めます。船がセイレーンから遠く離れて歌が聞こえなくなると、オデュッセウスは正気に返ります。
オデュッセウスのような勇士なら、セイレーンの魔女にあえて近づく冒険をしてみようと思うかもしれませんが。私達普通の人間は、やめておきましょう(笑)。セイレーンの魔女に近づかないようにする事が大切です。
そしてオデュッセウスは、セイレーンに近づく時に、自分の体はマストに縛り付け、船員達には耳栓をさせるという備えの策を打っています。
ショーン・エイカーは、私達の人生に存在するセイレーンをなるべく遠ざけ、遠ざける事が難しい場合は、セイレーンに囚われないよう前もって対抗策を打っておくことを提唱しています。セイレーンの誘惑に負けてしまうと、その後、自己嫌悪、自己否定などのネガティブな感情に襲われてしまいます。
私達の日常に、様々なセイレーンが存在しています。クッキーやテレビやインターネットや昼寝という形で。
- ダイエットしようとしているのに、キッチンにチョコチップクッキーが置いてある。
- 読書をしようと思ったのに、テレビをつけっぱなしにしている。
- 勉強しようと思ったのに、ついスマホに手が伸び、ネットサーフィンで時間を使ってしまう。
- 運動しようと思ったのに面倒になって、昼寝してしまう。
これらの現代のセイレーンを遠ざける対策、あるいは対抗する対策を取りましょう。
- チョコチップクッキーは家に置かない。
- テレビにカバーをつけて、視覚的に隠す。あるいは電源を抜いて、電源を入れないとテレビが見れない状態にする。
- 勉強する時は、スマートフォンを別の部屋に置く。
- 運動する服装にまず着替えてしまう。
私達を充実感や幸福感から遠ざけるセイレーン達。セイレーン達に近づかないように、できる対策を考えてみましょう。セイレーン達は、一瞬の喜びを私達に与えるかもしれませんが、後から自分自身に対する失望感という暗い海に私達を沈み込ませてしまいます。私達を誘惑しようとするセイレーン達が、日常生活のどこに潜んでいるか、調べてみましょう。