オプティミズムがなぜレジリエンスの強化に繋がるかというと、オプティズムを持っている人は、ストレスを感じるような困難な状況に対処しやすいからです。結果的に、人生のクオリティを高め、健康的でもあり、仕事でもパフォーマンスをあげやすく、うつ病にもなりにくいという調査結果があります。
では、オプティズムを持っている人は、なぜ困難な状況に対処しやすいのでしょうか?
前回悪い出来事が起きた時の3つの考え方で紹介したように、オプティミズムに基づく人は次のような考え方や行動の特徴があります。
- 何が問題なのかを特定できる
- 困難な状況をただ嫌な事態と捉えるだけでなく、チャンレジと捉える
- 自分の力で変えられる事を見つけられる
- 自分の力でどうにもできない事はいさぎよく受け入れる
- 困難な状況に対して、できるアクションや戦略を見つけ出そうとする
- 困難な状況を解決するための情報を積極的に取り、人の助けやアドバイスも求める
ですから、オプティミズムを自分のものにしようと思ったら、上記のような考え方や行動を身につけていけばいいわけです。
そのための練習として、3つのステップを踏んでみましょう。自分が今悩んでいる問題や、ストレスを感じている状況について考えて、ノートや紙に書き出してみましょう。
- ステップ1:自分がコントロールできる面は何か?
- ステップ2:自分がコントロールできない面は何か?
- ステップ3:自分がコントロールできる面につき自分が取れるアクションは何か?
そしてステップ3で書き出したアクションを実際に行動に移していきましょう。
例えば、健康診断で、胃に異物がみつかり再検査になったとしましょう。専門病院に行って異物が何かを検査した方がよいという診断を受けました。あなたは、これはがんなどの悪性腫瘍ではないかと疑い始めます。死んでしまうのではないか、がん治療で仕事も休まないといけなくなり、職を失うのではないかと不安が広がります。
この事態に対して、オプティミズムをもって対処してみましょう。
- ステップ1:自分がコントロールできる面は何か?→胃の専門病院で検査を受けて、異物の種類を特定する。
- ステップ2:自分がコントロールできない面は何か?→胃の異物が何のかは、自分ではどうしようもない。
- ステップ3:自分がコントロールできる面につき自分が取れるアクションは何か?
- 胃の異物を詳しく調べるために、専門病院の予約を取る
- 胃の病気について専門病院の解説サイトや医学書を読む
- 専門病院の検査を待つ間、医師に確認したい事をリストアップする
- 自分に入っている医療保険でカバーできる治療の範囲を確認する
- がんとは決まっていないが万が一の場合がん治療の治療費をカバーできる保険に入る
こうして、自分にできる行動を取っているうちに、病院の検査日が来て、胃の異物が良性のポリープだとわかり、不安が消え去るということになるでしょう。
オプティミズムがないと、自分がコントロールできる事と、コントロールできない事を混同してしまいます。その結果答えのない世界で悩み、何もアクションを起こさず悶々としてしまいます。まずは、自分がコントロールできる事とできない事を分けて、自分がコントロールできる世界で行動を起こしてみることが大切です。
不安や悩みは、何もアクションを起こさず考えているだけだと、どんどん増幅してきます。何か行動を起こすと、その分だけ、悩みが薄れ、実際に問題解決への道筋が見えてくる場合も多いのです。
「自分にできるアクションがある」と思える事は、オプティミズムを強化しますし、レジリエンスの要になります。