カタストロファイジングの思考のトラップに陥った時。特にダウンワード・スパイラル（下降渦巻）の思考トラップに陥ってしまった時。
どんどん拡大して深刻化していく不安に向き合う方法の一つが、３つのケース策定です。
- まずワースト・ケースを考えます。その問題によって起こりうる最悪の事態は何かをあえて考えます。それを紙の左側に書きます。
- 次にベスト・ケースを考えます。その問題に関連して起こりうる最善の事態は何かを考えます。それを紙の右側に書きます。
- 次にプロバブル・ケースを考えます。起こる確率が高い中間ケースを考えます。
ワースト・ケース、ベスト・ケースを線で繋ぎ、その中間にプロバブル・ケースを書きます。 - ある問題や不安について、最悪のケースと最善のケースを認識する事で、事態のインパクトの振れ幅を目で見て認識します。そして、プロバブル・ケースをみて、実際に起こりそうな事態を確認します。
- その後で、プロバブル・ケースが起きた場合に備えて自分ができるアクションはあるか考えてみます。
例をあげて説明しましょう。
あなたは仕事に必要な資格試験を受験しました。試験の内容は思っていたよりも難しく不合格になってしまったのではないかと心配しています。合否の判定通知が来るのはまだ一ヵ月先です。職場の多くの同僚が同じ試験を同時期に受けているので、自分だけが不合格だったら恥ずかしいし、今参加しているプロジェクト・チームからも外されるのではないか、今の職場にいられなくなるのではないかと不安がつきません。
この場合の３つのケース策定をしてみます。
- ワースト・ケース：試験に不合格で今の職場にいられなくなる。
- ベスト・ケース：試験に合格して今の職場で働き続けプロジェクトも続けられる。
- プロバブル・ケース：試験に不合格でも、今の職場で働き続けられるしプロジェクトも続けられる。
プロバブル・ケースを考えていくと、試験にたとえ不合格でも、職場にいられなくなるとか、プロジェクト・チームから外されるとかの不安は、自分が勝手に想像している事だと気づきます。
ワースト・ケースは試験に不合格で、かつ職場にいられなくなる事態ですが、冷静に考えてみると、一回試験に不合格で職場にいられなくなるというのは考え過ぎではないかと思えてきます。
では、プロバブル・ケースが起きた場合、あなたはどうすればよいでしょうか？今から備えることができるアクションはあるでしょうか？次のようなアクションが考えられます。
- 試験が不合格だと思った理由は何か？冷静に自分が何点くらい獲得できたか、本当に合格ラインを下回っているか、自分の回答を見直してみましょう。
- 試験に不合格だとかなりの確度で思うのならば、次の試験の準備をしましょう。次の試験はいつか、日程を確認しましょう。次の試験に合格するために勉強の方法を見直しましょう。
- 試験の合否と、あなたの職場での能力は必ずしもイコールではありません。プロジェクトで自分の役割を一生懸命務め、積極的に参加してやる気がある態度を示しましょう。そうすれば、たとえ試験が不合格でも、それが原因でプロジェクトメンバーから外されるなんてことにはなりません。
ワースト・ケース、ベスト・ケース、プロバブル・ケースの３つのケースを考えて紙に書き出して自分の目で確認することで、抱えている問題や不安の振れ幅を認識できます。
「試験に不合格でプロジェクト・チームから外され職場にもいられなくなる」という事態は、ワースト・ケースであって、起こる確率は高くないという事を自分に言い聞かせることもできます。
そして最も起こりそうな事態に備えてできる行動は何かを考えてみる事で、不安をただ抱えているだけではなく、不安に対処するための行動に関心や注意が向いていきます。
カタストロファイジングの思考のトラップに陥ると、対策を打つことや、前向きな行動がストップしてしまう傾向があるので、この３つのケース策定で、不安に対して取れる自分の行動を見つけていきましょう。
そしてもし、プロバブル・ケースではなく、ベスト・ケースが現実になった場合には（例でいえば試験に合格してプロジェクトも続けられる）、感謝と嬉しさを一杯感じることができると思います。
３つのケースを書く順番を変えないで下さい。必ず、ワースト・ケース、ベスト・ケース、プロバブル・ケースの順番で書いていって下さい。その順番を守ることで、理性的に最も起こりそうな事態、プロバブル・ケースを策定できます。
