レジリエンスは人との繋がりを感じたり、自分を支えてくれる人達がいることを確認することでも強まります。前回説明したように、自分がいざという時に頼りにできるレジリエンス・ネットワークがあるなら、それだけでもレジリエンスは強まります。
加えて、自分が相手にとってのレジリエンス・ネットワークでもあれば、相互の関係は深まり、レジリエンスはますます強まっていきます。
自分と相手がお互いに困難な状況の時に助言しあえる関係性を構築するためには、普段から相手とのコミュニケーションの仕方に注意しましょう。
アクティブ・コンストラクティブ・リスポンス(Active Constructive Response:ACR)について「PERMAの実践➂ R:幸福感が高まる人間関係を練習してみましょう。」で説明しました。相手に対して、アクティブで前向きは反応を返すことが大切です。
ポジティブ心理学において、人間が相手に対して反応を返す時、以下のような4種類の反応があると考えています。
- Active/Constructive:アクティブで前向きな反応
- Passive/Constructive:受け身だけれど前向きな反応
- Active/Destructive:アクティブで後向きな反応
- Passive/Destructive:受け身だけれど後向きな反応
この中で、「アクティブで前向きな反応」が、最もよい人間関係に結び付きやすいと説明しました。レジリエンス・ネットワークの仲間とは、ぜひこの「アクティブで前向きな反応」でコミュニケーションしたいですね。
この4つの種類の反応を図に表すと以下のようになります。
この4種類の反応をするタイプを、一言で表現すると以下のようになります。
Joy multiplier(喜びを増幅するタイプ)
会話の中で前向きにアクティブに反応して、お互いに喜びや困難をシェアして、絆が深まります。
Conversation killer(会話を台無しにするタイプ)
前向きだけれど受け身の反応は、実は相手のコミュニケーションしようという気持ちを消してしまいます。相手の話を「うん、うん、よかったね」とスマホを見ながら生返事で反応する事はありませんか?こういう反応は、結構相手を傷つけてしまいます。
Joy thief(喜びをダメにするタイプ)
アクティブに反応するけれど、相手を否定したり、批判したり、失望を伝えたり、起こったり、ネガティブな反応を強く打ち出して、せっかく相手がよいニュースを伝えても、否定的な態度で、よいニュースを台無しにしてしまいます。相手も、がっかりさせ、不安にさせます。人の意見をすぐ否定するタイプの人がいますよね?そういうタイプのコミュニケーションを行わないように注意しましょう。
Conversation hijacker(会話を乗っ取るタイプ)
会話を乗っ取って、違うトピックに変えてしまいます。相手の話を聞いていないのも同然です。相手の話を否定こそしませんが、相手に興味がない、相手の存在を無視している行為ともいえます。自分の興味にあまりにも集中している人や、相手の成功やよいニュースを嫉妬して共に喜べないとこうなりがちです。
この4つのコミュニケーションのタイプは、相手が誰かによって変わることもあります。
職場では部下に対して「喜びを増幅するタイプ」なのに、相手が配偶者や家族など親しい関係になると「会話を台無しにするタイプ」や「喜びをダメにするタイプ」になるというケースが時々あります。
親しい関係の相手こそ、「喜びを増幅するタイプ」になれるよう、コミュニケーションの方法に注意を払いましょう。
ちょっとしたコツをマスターすれば、すぐ「喜びを増幅するタイプ」になれます。次回はそのコツを紹介しましょう。