RQ(Resilience Quotient)という言葉があります。直訳すれば、レジリエンス指数。レジリエンス能力が高いか低いかを表す指標です。RQを測定する方法はKaren Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』の中でも紹介されています。
しかし、この計測方法はまだ現在進行形で改善されたり、変更されたりしているので、確立されているとはいえないと思います。現段階では自分のRQを計測して、高い、低いと一喜一憂することはやめておきましょう。レジリエンスが足りない、欠けていると思うからこそ、このレジリエンスを鍛える方法を読んでいると思いますし。
ただRQが高いと判断された人々に共通する特性が調査結果で明らかにされていますので、RQが高い人の特性を見ておきましょう。
「レジリエンスを身につけるワーク➁ レジリエンスには7つの要素があります」で紹介したように、RQが高い人々は以下のような特性を持っていました。
- Self-awareness セルフ・アウェイアネス(自己認識能力)
- Self-regulation セルフ・レギュレーション(自己管理能力)
- Mental agility メンタル・アジリティ(心の敏捷性)
- Optimism オプティミズム (楽観主義)
- Self-efficacy セルフ・エフィカシー(自己肯定感)
- Connection コネクション(関係性)
- Positive Institution ポジティブ・インスティテューション(ポジティブな仲間)
この7つの特性の中でもレジリエンスに特に影響を与えている要素が、オプティミズムなのです。
オプティミズムは日本語で訳すと楽観主義になりますが、何とかなるさという根拠のない楽天主義や、何もしなくてもどうにかなるという運任せとは異なります。レジリエンスに役立つオプティミズムは、リアリスティック・オプティミズム、現実的な楽観主義です。
リアリスティック・オプティミズムとは、どういうことでしょうか?
「よい事は起こりうるし、それを信じて努力することは大事。でもその道のりで問題に直面するはずだから、それを予見して備え、問題を解決する力を持つことも大事」
こういう考え方、心構えといえるでしょう。
もう少し具体的にいうと、以下のような特性です。
- 逆境や問題に直面しても、現実を無視することなく、前向きな考え方を維持できる
- 状況のネガティブな面を認めながらも、ポジティブな面も見つけることができる
- ポジティブな結果を望み、そこに向けて行動することができる
いつも明るくて前向きで楽しい人だけれど、問題が生じたりトラブルに直面すると、とたんに元気がなくなり、投げやりになる。そういう人はRQが低い、レジリエンスがあまりない人といえます。
一方、いつも物静かな人だけれど、問題が起きてもすぐ諦めずにに解決しようと行動したり、苦しい状況でもやけにならずにコツコツ努力している人は、RQが高い、レジリエンス能力がある人といえるでしょう。
あなたは、こまれでの自分を振り返って、リアルティック・オプティミズムを持っていると思いますか?それとも、単にオプティミズムを持っている?あるいは、楽観的になどならないタイプ?何でも悲観的に考えるペシミスト?
次の5つのタイプのうち、自分がどのタイプにあてはまるか、考えてみましょう。
- 何でもどうにかなるさと考えるオプティミズムを持つ人(楽観主義者)
- リアリスティック・オプティミズムを持つ人(現実的な楽観主義者)
- どちらでもないタイプ(ニュートラル)
- どちらかというと物事を悲観的に考えるペシミズムを持つ人(部分的な悲観主義者)
- 何でも悲観的に考えるペシミズムを持つ人(悲観主義者)
➂どちらでもないタイプを選んだ方が多いかもしれませんね。
楽観主義者や悲観主義者を選んだ方は、自分の物の見方にそういう傾向があるのだという事を認識しましょう。これからレジリエンスを鍛えるワークをしていくうちに、楽観主義や悲観主義の考え方がどのように変わっていくのか観察していきましょう。
さて、レジリエンス能力を高めるためにはリアリスティック・オプティムズムを培う事が重要ですが、そのためには、問題や苦しい状況に直面した時にどう感じるか、行動するかがキーになります。
困難な状況では、私達をネガティブな感情が襲い、感情が私達の行動を決めてしまうことがよくあります。まるで感情のローラーコースターに乗っているように、感情に振り回されてしまうことが度々あります。
ですから、まずは、問題に直面しても、感情のローラーコースターに乗らないようにしましょう。そのためには自分の感情や思考を正確に捉えていく必要があります。目に見えない感情や思考を捉えるためには、ちょっと時間を止めて、書き出すことが重要です。
次回はその書き出し方法を紹介していきましょう。
レジリエンス能力を高めるには、リアリスティック・オプティミズム(現実的な楽観主義)が重要だと覚えておきましょう。
自分の物の見方が、5つのうちどのタイプになるのか考えましょう。
※Karen Reinvich博士の著作『The Resilience Factor: 7 Keys to Finding Your Inner Strength and Overcoming Life’s Hurdles』を参考にしています。