オフィス・ライトハウス
ポジティブ心理学実践ワーク
レジリエンス

レジリエンスを使って自分を変えていく方法➂ ABCを練習して自分のBを探っていきましょう。

トラブルや失敗など嫌な出来事に直面した時、考える間もなく衝動的な発言や行動に走ってしまい、後から後悔する。人間ならば、そのような状況はたびたびあると思います。
しかし、その頻度があまりにも多すぎたり、衝動が危険な行為に結び付いたりすれば、「そういうこともあるよね」で放っておけません。
また、職場で無責任な言動や、感情的な発言をすれば、自分の評価を下げることにもなりますし、働きにくい状況を自分で作り出してしまいます。
あるいは、配偶者や子供など、とても親しい関係の間で、感情のままに攻撃的な言動や相手を責める言葉ばかり発していたら、大切な親密関係を崩壊させかねません。
第一、 そういう自分がとても嫌になると思います。
そういう自分を変えていくために、レジリエンスを培っていきます。

そのためにはまずABCを覚えて、練習しましょう。
一連の嫌な出来事を

A: Adversity 起きた嫌な出来事

B: Belief 自分の考え

C: Consequences 自分の取った言動

と、3つに分解してみるのです。

これはノートに自分の手で書き出してみる必要があります。B「自分の考え」がほとんど無意識で、書きながら探ってみないとわからない場合が多いのです。

自分の考えなのに、自分でわからないの?と思うかもしれませんが、これがなかなかわからないものなのです。意識せずに自動的に考えてしまったり、そういう考えを持っている事があまりにも自分にとって自然で日常のことすぎてわからないのです。

「A:起きた嫌な出来事」 と「C:自分の取った言動」はわかりますよね?ですから、まずAとCを書いてみます。その後で、Bを書き出していきましょう。

嫌な出来事が起きたその直後に書き出した方が効果的なのですが、ABCに慣れない場合、直後は感情が渦巻いてなかなか冷静に自分の考えを見つけられないことが多いです。ですから、ABCに慣れるまでは、一人で静かな時間を持てる時に、その日に起きた嫌な出来事と自分の言動を一つ取り上げ、書き出してみましょう

職場での例を挙げてみましょう。

A:営業会議で私の提案に同僚のXが反論してきた。せっかく私が頑張って作った資料についてもみんなの前で指摘して恥をかかせた。

C:かっとなりXの反論を大声で遮ってしまった。私とXの言い争いになり、会議は中断して出席していたみんなをあきれさせた。会議後上司は私に資料のミスを注意し、ミスを修正して資料を再提出するよう命じた。些細なミスなのに、Xのせいで、私が資料も作れないミスの多い人間だと上司に思われてしまった。

ここで「B:自分の考え」は何でしょうか?

  • Xはいつも私の意見に反対する。意地が悪い人だ。Xは私が嫌いに違いない。
  • 資料は小さなミスでどうってことないのに、Xが騒ぎ立てた。私は一生懸命頑張っているのにXはひどい。

「私」は日頃からXが嫌いだという感情を持っていて、Xの発言は自分を貶めるためにしているというBがありますね。

でも、もうちょっと深く探ってみましょう。「私」のBの深い所には

  • 私は資料を完璧に作れるはずだ。
  • 会議でもみんなを納得させる提案ができる有能な社員だ。
  • 営業会議で私は有用な人間のはずだ。

このようなBが潜んでいるのです。いわば、ディープBといえます。Bの奥の方に岩盤のように作られている概念、自分の固定概念のようなものです。

  • 自分は有能で仕事ができるはず。
  • 私の仕事は正しいはずだ。
  • 私は一生懸命頑張っている。だから上司や同僚に認められるべきだ。

このようなディープBがあるからこそ、それが傷つけられると、感情的あるいは衝動的な言動に出てしまうのです。

「私」は「自分の尊厳や能力、権利、プライドが傷つけられた」と考えたからこそ、Xに対しかっとなったわけです。Xは確かに意地悪な同僚かもしれませんが、「私」が「自分は資料作りが苦手だ、提案に自信がない」と思っていれば、ここまでXの反論に過剰に反応しなかったでしょう。

「自分の尊厳や能力、権利、プライドが傷つけられた」というBは、実は多くの人のBに見られます。「Violation of the right 権利の侵害」だと考えるBです。

他にも典型的なBの種類が幾つかあります。次回はそれを紹介していきましょう。

AとCの間にはBがある。頻繁に出てくるBは何だろうか?
それを探るために、1日に1個、嫌な出来事と自分の取った言動を思い出して、Bは何だったのかを探って書き出していきましょう。
1週間続けると、よく出てくるBの種類が見えてくると思います。

嫌な出来事を思い出すのは精神的に苦しい面もありますが、嫌な出来事をそのままにしておくのも苦しいものです。せめて、ノートに書き出してABCに分解してみましょう。分解して書き出す行為によって、嫌な出来事がはっきりした輪郭を持ってきて、冷静に見つめることができるようになる可能性もあるのです。

1日の終わりに嫌な出来事を一つ思い出して、ABCを書き出してみましょう。はじめにACを書いて、Bは何か、特にディープBは何かを探っていきましょう。ABCを書き出す練習を1週間続けて、自分のBにどのような種類が多いか、見ていきましょう。

 

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA